サイレント・マジョリティーー中国のLGBT事情について

 

 北京の繁華街・三里屯にある老書虫という本屋さんで行われた中国のLGBT事情についてのトークイベントに参加してきた。中国とLGBT、儒家思想の影響で「家」に対しての伝統的観念が強く残る、そして複雑な政治状況をかかえる中国で、LGBTの方々が何を感じて過ごしているのか、話に耳を傾けに行った。

 

 当日は、北京LGBTセンターからのスタッフと、映画監督の魏建刚のふたりの当事者を招いて、司会とオーディエンスからの質疑応答という形で進められた。(北京LGBTセンターのホームページはこちら、社会啓発活動、HIV予防啓発、実態アンケート調査などを行っているとのこと→北京同志中心)

 

以下、簡単に当日のやりとりを記していこうとおもう。

 

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Q,LGBTというラベリングについて。それはどれくらい有用なのだろうか。

 

A(センターのスタッフ),個人のレベルにおいてはラベリングはそれほど重要ではないと考えている。ただ社会に問題を提起していくなかで、ラベリングを行わないことには、可視化されないという状況を招いてしまう。LGBTのなかでも、自分が属するT(トランスジェンター)は認知度が特に低く、社会に理解を広めていく努力をしなければいけないと感じる。

 

A(魏),スタッフの意見とおおむね同意である。個人のレベルにおいてはラベリングは重要ではなく、それは常に変化し続けるものでもある。そして、LGBTから離れて考えてみても、私たちはみんな何かのコンテクストにおいて、少数派に属していると思う。

 

Q,あなたはいつ自分がLGBTであると気がつきましたか。またカミングアウトをしてから、周囲の人は理解を示してくれましたか。

 

A(スタッフ),自分は大学生のころにはっきりとした自覚を持つようになった。最初はその感覚が理解されず、とても強い孤独に苛まれた。しかし、センターでの活動を続けていくなかで、徐々に周囲の理解を得られるようになった。母親も理解を示してくれて、私に年下の恋人ができたときには、「あなたのほうが先に老いていくから、きっと振られるわよ」と冗談も言ってくるようになった(笑) ちなみに、今振り返ってみるに、自分がトランスジェンダーに目ざめたのは、日本の少年漫画の影響が大きいと思う。女性が主体的に立ち上がっていく作品が多く、小さいころからそういった漫画が自分は大好きだった。

 

Q,他の人権団体と協力して活動していくことは考えていますか、それとも基本的には独立して活動していきますか。

 

A(スタッフ),協力していくことはとても大切。例えば、女性の権利のために活動する団体との協力などはとても大切だと思う。まず社会においてそこの問題が解決されないと、LGBTの話にも繋がりにくいのではないか。女性の権利のほかにも、貧困問題、労働問題、様々な社会問題は表面的にはそれぞれが独立してあるように見えても、本当は深く繋がりあっていると考えている。

 

A(魏),自分も他の団体との協力はとても大切だと考えている。人権団体はもちろん、HIVの予防啓発や、メンタルカウンセリングなども考えると、幅広い団体と協力していく必要性を感じる。

 

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 話を聞いていて、納得することがとても多く、1時間のイベントだったけれどたくさんの収穫を得た思いだった。特に、様々な社会問題は繋がっているという言葉は自分にとってはひとつの気づきでもあった。自分のより深くコミットしていくことのできる分野で自分にできることをするのがシンプルだけれど大切なのだと思う。

 またラベリングをする必要など本当はないのだけれど、それをしないことには問題が可視化されない、というスタッフさんの言葉は、聞いていて少し胸が痛んだ。当たり前のことを当たり前のこととして享受できる環境というのは、数多くの人たちが尽くしてきた努力によって成り立っているのだということに、改めて気がつかされた思いだった。

 

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 このイベントを行った老書虫書店は、今月は他にも多数イベントを催しているらしい。春が近づくにつれて、北京の至るところで様々なイベントが行われるようになってきた気がする。

 

#BLF 2018# LGBT MATTERS: THE SILENT MAJORITY | The Bookworm Literary Festival