本当の強さ

 夏の話になるけれど、大阪四季劇場にてライオンキングを鑑賞した。

 実はライオンキングは名前を聞いたことがあるだけで、内容についてはほとんど何も知らなかった。しかし、それが逆に良かったのかもしれない。観劇中、最初から最後まで魅了されっぱなしで、あっという間に時間が過ぎ去ってしまった。振り返って、死生観を表現した部分が一番心に残った。

 

  サバンナの自然の循環。それは肉食動物が草食動物を喰らい、草食動物は肉食動物が死んで肥えた大地の草木を食べる。生と死の絶妙な連鎖のなかで自然界のバランスは保たれている。
 物語は進み、やがて父が死ぬ。残された子にはその死を上手く受け止めることはできない。ふたりの間の時間は静止したまま、世界の時間だけが流れていく。やがて子は故郷を去り、旅に出て、異なるものたちに触れる。そうして少しずつ成長し、やがて再び故郷に帰り、自分の暗い過去でもある父の死と向き合うことに。

 深い葛藤と苦悩の末に、少しずつ父の死を認識し始めるさなか、子の心にふと父の声が蘇る。その瞬間、心の中の止まっていた時計が確かに動き始める。父との時間が再び流れ始め、父は子の心のなかで再び息をふきかえす。父の死を本当の意味で受け止められたとき、父は子の心のなかで再び生き始める。死は単なる生の終りではないということが暗に示されているように思われた。父の命が、子どもの心のなかに受け継がれた瞬間、深い感動に胸を打たれた。

 

 観劇後、劇団四季の他の作品をもっと観てみたいなと思った。 ちなみに、大阪の四季劇場はビルの上階にあるので、退場の際はエレベーターで地上に向かう。ゆっくりと少しずつ僕たちは地上に近づいていく。頭のなかのスイッチを現実世界へ向けてときちんと切り替えてくれるような、元の世界にまで丁寧に案内してくれる感じにどこか配慮を感じて、心が温かくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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